イベントレポート 第307号
2014.5.2発行

green drinks 松戸 vol.9 レポート「街にクラブをつくろう〜みんながDJ、みんなでイエーイパーティ〜」

自給自足できる街をテーマに2011年5月から毎月1回開催されているgreen drinks 松戸。

2012年は「○○をつくろう!」をテーマに掲げ、少しでも自給力を高めることを目指していきます。

そのvol.9を㈱まちづクリエイティブが管理運営するホームパーティスペース「ルシーナビル7F」で「街にクラブをつくろう〜みんながDJ、みんなでイエーイパーティ〜」と題し開催しました。

■音楽のある暮らしっていいね!

参加者のみなさんと一緒にクラブをつくろう、という今回の企画。参加者自身がDJでありバーテンでありダンサーになるという、真のホームパーティをつくることが目的です。まずはオーガナイザーの殿塚より企画のきっかけをお話しします。

これまで音楽にはあまり関心が無かったという殿塚。ですが仕事として松戸アートラインプロジェクトの音楽イベントに関わったことがきっかけで音楽の 素晴らしさを感じ始めます。「渋さ知らズ!さんのライブに参加してから、いつもはパソコンやipodでしか聞いていなかった音楽をちょっと大きめのスピー カーでかけるようになりました。朝コーヒーを飲むときにもBGMをかけるようになったり、自分の暮らしに音楽がどんどん入ってきました。」

そんな殿塚が抱える悩みはクラブに行った時に「恥ずかし過ぎて踊れない」ということ。一方で、DJやダンスに興味があるのも事実。そんな自分のよう な人がきっとたくさんいるはずだと思った殿塚は「だったら一回初心者を集めて、慣れている人に聞けばいい」という単純な企画を思いつきます。

「自分らしく遊べる音楽スペースを自分たちでつくりだそう」そんな想いから今回の企画はスタートしました。

■クラブの楽しみ方を聞いちゃおう。DJとカクテルとイエーイの3講座

ということで、今回のゲストは(一部マニアにとっては相当)豪華です。DJ担当はオーガニックレストランCAMOO店長、伊藤淳ことDJKIN。カ クテル担当はかつてホテルマン時代にお酒の作り方はひと通り覚えた、現MAD Cityのツアーガイド行政翔平。イエーイ担当はクラブが大好きな女子大生(当時)前川千保の3名。彼らにそれぞれ、DJ、カクテル、そしてイエーイ(音 楽へのノリ方)を教わります。順にその講座内容をご紹介しましょう。まずはDJ講座から。

「自宅では出来ない大音量で曲を聞き、踊り楽しむのが最大の醍醐味。」とクラブの魅力を語るDJKIN。

そのためかける曲は、はっきり言ってなんでもOK。皆が知っている懐かしい曲、これはレアだぞ!と自慢げに流す曲、自分の伝えたいメッセージが入っ ている曲など多種多様、選曲も自由に個性を出してその空間をDJは盛上げて行きます。大切なのは「大音量でノリノリの曲をつないでいこうとイメージするこ と」

ではその盛り上がりをどうやって持続させるのでしょうか。そこで登場するのがレコードとターンテーブル!特に2turntable&1mixer!!!が必須です。

これがあることにより、片方のターンテーブルではフロアに曲を流しながら、もう片方で次に流す曲をチョイスすることができるのです。ミキサーを2つ のターンテーブルの間に接続しヘッドフォンを接続したら準備完了。フロアに流れる曲を片耳で聞きながら、もう片方の耳にヘッドフォンをあてて次なる上げ上 げチューンをモニターしてプレイスタートです!

曲の選曲方法はいたってシンプル。テープでもCDプレイヤーでもipod等でも自分がかけたい音のポイントを(例えばイントロを飛ばしてサビから再 生したいなど)を決めて、早送り、巻き戻しを繰り返して再生ポイントを探します。かくいうDJKINさんは、アナログレコード派。ついでにレコードの場合 はどのようにやるのでしょうか。

「レコードの溝には音の情報がアナログで記録されています。その溝をレコード針で引掻くことにより音を再生し、とぐろ上に中心に向かい針が音を再生 していきます。」「その細ーい溝に針を置く(DROP the needleといいます)事で瞬時に電気信号が針、ターンテーブルのアームや各配線を通りミキサー、アンプスピーカーへと送られフロアーに野太いアナログ サウンドが流れていくわけです」とここまで説明したところで、思わず「これがたまりません!」との声をあげるDJKIN。講師の方が、テンションあがって きています。

さて、選曲が終わったら今度はミキサー&ターンテーブルの操作。それぞれの曲がスムーズにつなげるように調整します。そう、ここがひとつのポイント。色々なつまみがありますが、主に大切なのは2つ。音量とピッチ(テンポ)です。
まずは音量を盛り上がるほどのボリュームだけど、不快ではない微妙なラインに合わせます。続いてはピッチの調節。これがミソです。それぞれの曲には BPM(BEAT PER MINUTES)と呼ばれるピッチをあらわす記号があり、つまり、一分間に何回ビートを刻むかが表されています。

数値として表示されるミキサーもありますが、基本は耳で聞いてテンポを理解すること。難しければ単純にその数値を合わせればOKです。そしてやることは単純。ヘッドフォンで聴いている次の曲が早ければ、遅くし、遅ければ、速くします。
ヘッドフォン用の、ターンテーブルのピッチコントローラーでテンポを合わせ次の曲にスムーズにつないだら、会場はMORIMORI失神間違いなし!

と、説明はここまでですがいくら聞いても実際にやってみなければわかりません。ということで 実践編がスタート。皆様が持ってきたiphoneやipodなどをターンテーブル同様に再生し、交互に曲を流したり、初体験のスクラッチでレコードを キュッキュッとこすったり!どなたも選曲、ビート感、リズム感の個性を持っていてDJをやる素質はみなさんMAX超えの120%で僕も思わず YEAH!!!と叫んでしまいました!(DJKIN談)

続いてはカクテル講座のご紹介です。

そもそも、クラブにおけるカクテルとは何なのでしょうか?行政さんは「クラブをより楽しむ為に、欠かせないツール」と語ります。とはいえカクテルを飲んだ事があっても実際作った事は無い方々がほとんど。ということで、まずはカクテルの種類について説明から始まります。

カクテルとはベース(基酒)となる酒に、他の酒またはジュースなどを混ぜて作るアルコール飲料のことをいい、「酒+何か(something)」と 表現されます。例えば、スタンダードなカクテルとして紹介される「スクリュー・ドライバー」は、「ウォッカ+オレンジ・ジュース」のことです。

そんなカクテルをつくるために必要な道具は3つ。シェイカー、バースプーン、メジャーカップです。シェイカーとは、文字通りお酒をシェイクするもの。メジャーカップで分量をはかり、バースプーンでかきまぜます。

今回つくるのは、比較的簡単に出来るトム・コリンズ。作り方はシンプルです。まず、氷をシェーカーに入れ、一度マドラーでかき混ぜ、シェーカーを冷 やします。ここで使った氷と解けた水分は出来た時のカクテルが水っぽくなるので捨てます。次に、冷やしたシェーカーにジン・レモンジュース・シロップを入 れ、軽く混ぜたらふたをしめて、シェーカーをよく振ります。最後に、氷を入れたグラス(コリンズグラスという細長いものがベスト)に、カクテルを注ぎ、 ソーダ水で、グラスを満たします。
 
参加者のみなさんの手つきも結構良い感じ!手際良く材料をシェーカーに入れ、リズミカルにシェーカーを振りました。すると参加者のみなさんから驚きの声 が。そうシェーカーは、振ると中に入っている氷で、みるみるうちに冷えてきます。これも実際にやってみなければわからないところ。

各自が作った、カクテルは上出来だったようで、自分の作ったカクテルを美味しそうに召し上がってました。カクテルは”飲む”と言うだけでなく、鮮やかな色や素敵なグラス等を使ったものなど、クラブという空間をより、引き立ててくれます。

最後は、おそらく世界初であろうイエーイ講座について。

友人に誘われたことがきっかけで、クラブにはまりはじめたという前川さん。今はノリノリで踊れる前川さんも最初は恥ずかしかったそうです。そんな前川さんにノリ方のコツを聞いたところ「ぶっちゃけそんなものはありません」ときっぱり。

「単純に自分のリズムで、自分が感じた通りに動く。周りの目は気になるかもしれないけど、自分自身が音楽を楽しむことが何より大切。かたちは関係ありません」と語ります。

ということで、さっそく前川さんのオススメミュージックをかけてダンススタート。みんなが初心者という安心感もあって、各自ノリノリに踊りながら時が過ぎていきました!

■さあ、クラブをつくろう!

さあ、各講座をみんなが受けたところでいよいよクラブをつくっちゃいます。ルールは簡単、オススメの曲を参加者みんなで順番にかけながら、自分のカクテルを自分でつくって、あとは踊りまくるだけです。

そして終盤は、DJKINの登場。フロアのテンションは最高潮に。


最後はCAMOOスタッフの湖天破和宏さんの生ギター演奏で、幕を閉じました。

■若者が多いのに、遊び場が少ない松戸

農村社会と同じく、地方都市にも押し寄せている少子高齢化の波。当然松戸にも同様の問題が起こっているのかと思いきや、実は松戸西口駅前エリア(本町地区)は若者が多い街。30代以下の人口が59%を占め、正常な人口ピラミッドが形成されている地区なんです。

にも関わらず、街に若者が集って遊ぶ場はほとんど無いのが現状。松戸の若者は隣町である柏や北千住、都内へと遊び場を求めて出ていってしまいます。「松戸つまんね〜な〜。何もないよ」

そう文句を言うのは簡単です。だけど、それなら自分たちでつくってみよう。それも無理なく。クラブをつくることを通じて「遊び場」と「音楽」がある暮らしをまちにつくること。そんなチャレンジを今回は試みてみました。

そんな意志を継いでが継がずか、松戸でD-NITEという参加者がDJになれるというイベントが毎月行われることになりました。(詳細はこちら

もし、行ってみたかったけどご参加できなかった方は、こちらにもご参加下さい。これからも、自給の概念を大幅に拡大解釈し「自給自足できるまち=自 分たちで暮らしをつくるまち」を目指し、green drinks 松戸は突き進んで行きます!良かったらみなさん遊びにきて下さい!

※こちらのレポートは greenz.jp及びgreen drinks 松戸のHPにも掲載されています。